いつもオーダースーツの豆知識をご覧いただきありがとうございます。
今回もオーダースーツの世界をいろいろな角度からご紹介します。
木々が色づき、空気が澄み渡る季節。あなたのクローゼットには、どんな一着が加わるでしょうか。いつもの滑らかなスーツも良いですが、この秋冬、本物のお洒落さんたちがこぞって注目している素材があります。それが「ツイード」です。
どこか懐かしく、温かい。そして、揺るぎない品格を漂わせるツイードは、英国紳士の歴史とともに歩んできました。その力強くも豊かな表情は、着る人の知性と背景を雄弁に物語ります。しかし、その個性ゆえに既製服では真価を発揮しにくいのも事実。だからこそ、自分のためだけに仕立てる「オーダースーツ」という選択が、今、最も輝くのです。
この記事では、なぜ2025年の秋冬にツイードが主役となるのか、その理由を深く掘り下げ、誰よりも格好良く着こなすための秘訣をお伝えします。この一着が、あなたの秋冬を忘れられない特別な季節に変えるでしょう。
1. この秋冬、選ぶべきは「ツイード」の一択
結論から申し上げます。この秋冬、あなたがオーダースーツを仕立てるなら、その選択肢はツイード以外に考えられません。滑らかなウールが持つフォーマルな魅力とは一線を画す、その立体的な織りと色の深みこそが、成熟した大人の男性にこそふさわしい「雰囲気」と「格」をもたらすからです。
ツイードのスーツを纏うことは、単に服を着るという行為を超え、英国の歴史や文化そのものを身に纏うようなものです。ハリスツイードに代表されるような、厳しい自然環境で育まれた羊毛から手織りされる生地は、他のどんな素材にもないポテンシャルを秘めています。そのスーツに袖を通した瞬間、あなたは多くを語らずとも、確固たる自分を持つ人物として、周囲の目に映るはずです。
2.なぜツイードは時代に選ばれるのか
ツイードが今、これほどまでに注目を集めるのには、三つの明確な理由があります。それは、時代の潮流、素材の本質的な魅力、そして着こなしの奥深さです。
第一に、ファッションの世界的なトレンドが「英国調クラシック」へと回帰していることが挙げられます。構築的なショルダーライン、絞られたウエスト。そんな伝統的な英国スタイルを表現する上で、ツイードはまさにぴったりな存在です。2025年の秋冬コレクションでも、多くのブランドが都会的にアップデートされたツイードを発表しており、この流れは間違いなく本格化しています。
第二に、ツイードという素材そのものが持つ、圧倒的な魅力です。短い羊毛を紡いだ「紡毛糸」で織られるツイードは、生地の内部に空気を多く含むため、驚くほど暖かく、地域によっては冬ならコートが不要なほどです。また、非常に丈夫で、着込むほどに体に馴染み、味わいを増していきます。それは、数年で消耗する服ではなく、10年、20年と連れ添い、自分の歴史を刻み込む「相棒」となる存在なのです。
そして第三に、フランネルとの違いがもたらす表情の豊かさです。同じ紡毛生地でも、表面を起毛させて柔らかく仕上げるフランネルに対し、ツイードは織りそのものの表情を活かします。これにより、ヘリンボーンやガンクラブチェックといった複雑な柄を、色の深みと共に鮮やかに表現できるのです。
3. ツイードを究めるオーダースーツの嗜み
では、具体的にどのようにツイードスーツを攻略すればよいのでしょうか。オーダースーツだからこそ実現できる、究極の着こなし術を紐解いていきましょう。
⑴生地の選定
* ハリスツイード: 「ツイードの王様」と称され、スコットランドのハリス島で手織りされる、最も有名なツイードです。最初はゴワゴワと感じるほどの硬さですが、それが信頼の証。着るほどに柔らかく馴染んでいく過程は、他の生地では味わえません。
* ドネガルツイード: アイルランドのドネガル地方で作られるツイードで、カラフルな色の粒(ネップ)が織り込まれているのが特徴です。カントリー調の温かみと、遊び心を感じさせます。
- スタイルの構築:英国紳士の流儀
ツイードの魅力を最大限に引き出すのは、やはり英国調の仕立てです。肩パッドで構築的なショルダーラインを作り、ウエストをぐっと絞り込むことで、力強く男性的なシルエットが生まれます。福岡のテーラーには、「BELGRAVIA & SONS」のように英国式モダンクラシックを追求する店や、「Tailor Grace」のようにブリティッシュスタイルを現代的に解釈する店があり、あなたの理想とする英国紳士像を形にしてくれます。
⑶Vゾーンの演出:質感で語る
ツイードスーツのVゾーンは、「質感」を合わせることが鍵です。
* シャツ: オックスフォード生地のボタンダウンシャツは、ツイードのカジュアルさと相性抜群です。
* ネクタイ: 光沢のあるシルクタイよりも、ウールやニット素材のネクタイを選びましょう。スーツの素材感とリンクさせることで、Vゾーンに統一感が生まれ、洗練された印象になります。色は、スーツの色柄から一色拾うか、ボルドーやボトルグリーンといった英国的な差し色を選ぶのが定石です。
4. ツイードをまとい。冬の主役へ

ツイードは、単なる秋冬の防寒着ではありません。それは、着る人の品格を高め、人生に深みを与える、まさに「纏う教養」です。そのざらりとした手触り、複雑に絡み合う色の奥行き、そして時間とともに体に刻まれるエイジングの記憶。そのすべてが、あなたという人間の物語を、より豊かに紡いでいくのです。
この秋冬、オーダースーツという最高の選択で、あなただけの一着を仕立ててみませんか。福岡には、創業100年を超える老舗や、7,000着以上の採寸経験を持つ熟練テーラーなど、あなたの物語に寄り添ってくれる確かな技術と情熱を持ったお店がそろっています。
勇気を出してその扉を開けたとき、あなたの新しい季節が始まります。ツイードのスーツを颯爽と着こなし、街を歩く。今年の冬、主役は、あなたです。

