いつもオーダースーツの豆知識をご覧いただきありがとうございます。
今回もオーダースーツの世界をいろいろな角度からご紹介します。
ときどき、お客様から「生地の持ち込みできますか?」とお問い合わせをいただくことがあります。事情はいろいろですが、お手持ちの生地でスーツをあつらえる「生地持ち込み」は、もちろんOKです。この記事では、生地持ち込みオーダーの魅力から、テーラーへ依頼する際の注意点などわかりやすく紹介します。
1. なぜ選ばれる?オーダースーツにおける生地持ち込みの魅力と基礎知識
お客様が生地の持ち込みを選ぶ背景には、既製品や店舗ストック生地では得られない、特別な理由とメリットがあります。その魅力と、持ち込みに関する基本知識を解説します。
- 「この生地で作りたい!」を実現する、持ち込みオーダーならではの価値
生地を持ち込む理由は様々。祖父母から譲り受けた思い出の布、旅先で見つけた特別なテキスタイル、あるいは希少なヴィンテージ生地。そのような生地には、お客様一人ひとりの大切な物語や想いが詰まっています。その唯一無二の生地を使い、ご自身の体に完璧にフィットするオーダースーツを仕立てることは、特別な満足感と愛着をもたらすでしょう。
- 持ち込み前に要確認!オーダースーツに適した生地の種類と必要な長さ(用尺)
お手持ちの生地でオーダースーツを仕立てる、それは特別な一着への第一歩です。しかし、どんな生地でもスーツに適しているわけではありません。大切な生地を無駄にしないため、事前に確認すべきポイントをお伝えします。
・オーダースーツに適した生地とは?
一般的に、スーツにはウール、コットン、リネンといった天然素材がよく用いられます。これらは風合いが良く、仕立て映えするでしょう。ただし、生地の織り方や厚みも重要。極端に薄い生地や厚すぎる生地、伸縮性がほとんどない生地は縫製が難しく、完成後の耐久性にも影響が出かねません。愛着のある生地だからこそ、スーツとして長く使えるか見極めが肝心です。
・スーツ一着に必要な生地の長さ「用尺」
スーツ一着(ジャケットとパンツ)を仕立てるために必要な生地の長さ(用尺)は、一般的に約3メートルから3.5メートルが目安です。しかし、これはあくまで標準的な体型での話。生地の幅(シングル幅かダブル幅か)、ストライプやチェックといった柄の有無、お客様の体型、そして希望するスーツのデザインによって、必要な用尺は大きく変動します。特に柄物は、柄合わせのために多めに生地が必要となるケースがあります。
・持ち込み前にテーラーへ相談を
「この生地でスーツを作れるだろうか?」「長さは足りるだろうか?」そんな疑問や不安は、自己判断せずに専門家であるテーラーに相談するのが一番です。持ち込む前に、生地の写真や素材情報、購入時のメーター数などを伝えて、スーツへの適性や用尺が十分かを確認するのも良いでしょう。プロの目で的確なアドバイスを受けることで、安心してオーダースーツ作りを進められます。
2. 生地持ち込みでオーダースーツを依頼する際のテーラー選びと注意点
信頼できるテーラー選びと、事前の確認が重要です。お客様がスムーズにオーダーを進められるよう、具体的情報をお伝えします。
- 信頼できる!生地持ち込み対応テーラーの見極め方
全てのオーダースーツ店が生地持ち込みに対応しているとは限りません。まず対応可能なテーラーを探す必要が生じます。ウェブサイトに「生地持ち込み可」と明記があるか、問い合わせに丁寧かつ的確に回答するかを確認しましょう。過去の持ち込み実績が豊富で、生地の特性を見極める確かな技術力を持つテーラーなら、より安心です。大切な生地を預けるため、信頼できるテーラー選びは非常に重要となります。
- 持ち込み料金は?縫製条件は?事前に確認すべき必須チェックリスト
持ち込み前に必ず確認しておきたい重要事項をリストアップしました。トラブルを避け、スムーズなオーダーのためにご活用ください。
☑ 持ち込み料金は明確ですか?
* 裁断料や特別な工賃など、「持ち込み料金」は発生しますか。
* 発生する場合、その具体的な金額はいくらになりますか。
* 見積もりには、どの作業までが含まれているか確認しましょう。
(例:生地のチェック費用、型紙作成料など)
☑ 生地の状態は問題ありませんか?
* 持ち込む生地に、目立つ傷や落ちない汚れはありませんか。
(状態によっては追加料金や、縫製をお断りされる可能性も)
* 生地の保管期間や状態について、事前に伝えておくと安心です。
* 万が一、縫製中に生地に問題が見つかった場合の対応も聞いておきましょう。
☑ 生地の特性による縫製の制約はありますか?
* 持ち込む生地の素材は何ですか(例:シルク、ベルベット、特殊な化学繊維など)。
(デリケートな素材や扱いにくい生地は、特別な技術や追加料金が必要なことも)
* 生地の柄(大きな柄、方向性のある柄、要柄合わせなど)によって、作れるデザインに制限は出ますか。
(例:特定のデザインが不可能になる、追加の用尺が必要になるなど)
* 極端に薄い、厚い、伸びる、硬いなど、生地の特性による縫製上の注意点を確認しましょう。
☑ その他・契約前の最終確認
* 万が一、完成品に不備があった場合の保証や修正について、明確な取り決めはありますか。
* 裏地やボタンなど、生地以外のパーツも持ち込む場合、その可否や条件を確認しましたか。
* 上記を含め、全ての確認事項についてテーラー側と合意し、記録を残しておくとより安心です。
3. 「持ち込み生地」は、あなただけのより特別な一着になる

生地を持ち込んでオーダースーツを仕立てることは、単に衣服を作るというより、お客様自身の大切な想いを形にする、創造的なプロセスとも言えます。そこには、既製品を選ぶだけでは決して味わえない、深い感動と満足感があるでしょう。
もちろん、事前の確認事項やテーラーとの綿密なコミュニケーションなど、いくつかのハードルがあるかもしれません。しかし、それらを乗り越えて完成した一着は、まさに世界で一つの、あなただけの宝物です。福岡で「生地を持ち込み、オーダースーツを仕立てたい」とご検討の際は、ぜひ私たちにご相談ください。お客様の大切な生地に新たな命を吹き込み、最高の一着をお届けできることを、心より楽しみにしております。