いつもオーダースーツの豆知識をご覧いただきありがとうございます。
今回は、現役テーラーが、オーダースーツのパンツで差をつけるためのこだわりのディテールをわかりやすく解説します。
「オーダースーツはジャケットが重要だと思っていませんか?実は、パンツこそがスタイルを大きく左右する鍵なのです。」
オーダースーツを作る際、ジャケットの素材やデザインに注目しがちですが、実はパンツの出来栄えこそが、全体のシルエットや印象を大きく左右する重要な要素です。既製品のパンツではなかなか得られないフィット感や美しいシルエットは、オーダースーツならではの魅力と言えるでしょう。
シルエット、ディテール、素材選びなど、細部にまでこだわることで、ワンランク上の着こなしを実現するためのヒントをお届けします。
1. パンツがスタイルを左右する理由:重要な役割
パンツは、脚のラインを美しく見せるだけでなく、全体のバランスを整える役割も担っています。例えば、同じジャケットでも、パンツのシルエットが変わるだけで、印象は大きく変わります。
脚長効果: パンツのシルエットや丈の長さによって、脚を長く見せる効果があります。
スタイルアップ効果: ウエストの位置やヒップ周りのフィット感によって、スタイルを良く見せる効果があります。快適な着心地: 自分の体型に合わせたパンツは、動きやすく、快適な着心地を提供します。
これらの理由から、オーダースーツにおいて、パンツはジャケットと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な要素と言えるのです。
2. オーダースーツ パンツで差をつけるディテール
それでは、オーダースーツのパンツで差をつけるための具体的なディテールと裏技を見ていきましょう。
⑴シルエット:トレンドと体型に合わせた選択
パンツのシルエットは、大きく分けて以下の種類があります。
・ストレート: まっすぐなラインで、最もベーシックなシルエットです。
・テーパード:裾に向かって細くなるシルエットで、脚長効果があります。
・ワイド: ゆったりとしたシルエットで、リラックス感のある着こなしになります。
・フレア:裾に向かって広がるシルエットで、個性的な着こなしになります。
・裏ワザ:20代であれば、やや細身のテーパードシルエットを選ぶことで、スタイリッシュな印象になります。30代以降であれば、ストレートシルエットを選ぶことで、落ち着いた印象になります。また、体型に合わせて、太もも周りのゆとりを調整することで、より快適な着心地になります。
⑵ウエスト:快適なフィット感を実現
ウエストのフィット感は、着心地に大きく影響します。
・ジャストウエスト: ウエストの一番くびれた位置で履くスタイルです。
・ローライズ: 腰骨の位置で履くスタイルです。
・ハイライズ: ウエストの高い位置で履くスタイルです。
・裏ワザ:ウエストの内側に滑り止めをつけることで、シャツの裾が出にくくなります。また、アジャスターをつけることで、ウエストの微調整が可能になります。
- フロント:ディテールで個性を演出
フロントのディテールも、個性を演出するポイントになります。
・ノータック:タックがなく、すっきりとした印象です。
・ワンタック: 片側にタックが入っており、程よいゆとりがあります。
・ツータック: 両側にタックが入っており、ゆったりとした履き心地です。
・裏ワザ:タックの深さや開き方によって、印象を変えることができます。また、持ち出しの長さを調整することで、ウエスト周りの印象を変えることができます。
- 裾:長さと仕上げで印象が変わる
裾の長さと仕上げは、全体のバランスを左右します。
・シングル:シンプルな仕上げで、カジュアルな印象です。
・ダブル:折り返しのある仕上げで、フォーマルな印象です。
・裏ワザ:裾幅を調整することで、靴とのバランスを調整することができます。また、よりフォーマルでドレッシーな印象には、モーニングカットがおすすめです。
- ポケット:機能性とデザイン性を両立
ポケットは、機能性だけでなく、デザイン性も重要な要素です。
・縦ポケット: 一般的なポケットで、使いやすいです。
・斜めポケット: スラントポケットとも呼ばれ、スタイリッシュな印象です。
・フラップポケット: フラップ(蓋)が付いたポケットで、フォーマルな印象です。
・裏ワザ:コインポケットやチェンジポケットを追加することで、機能性を高めることができます。また、ポケットの形状や位置を調整することで、デザイン性が高くなりおしゃれども上がります。
⑹素材:季節と用途に合わせた選択
パンツに使用する素材は、季節や用途に合わせて選びましょう。
・ウール:オールシーズン着用できる定番素材です。
・コットン:カジュアルなシーンにおすすめです。
・リネン:夏におすすめの涼しい素材です。
・裏ワザ:裏地にキュプラを使用することで、滑りが良くなり、快適な履き心地になります。また、ストレッチ素材を混紡することで、動きやすさを向上させることができます。
3. オーダースーツ パンツを作る際のポイント
オーダースーツのパンツを作る際には、以下の点に注意しましょう。
・試着をしっかり行う: 仮縫いがある場合は、必ず試着を行い、気になる点を伝えましょう。特に、ウエスト、ヒップ、太もも周りのフィット感は、しっかりと確認しましょう。
・靴を持参する: パンツの丈を決める際に、普段履く靴を持参することで、最適な長さを決めることができます。テーラーとよく相談する: 自分の体型や好みを伝え、テーラーのアドバイスを参考にすることで、より満足のいくパンツを作ることができます。

4.「オーダースーツ パンツで差をつける」のまとめ
最後に、オーダースーツのパンツで差をつけるためのこだわりのディテールをまとめます。
・シルエット: トレンドと体型に合わせて選択。
・ウエスト: 快適なフィット感を実現。
・フロント: ディテールで個性を演出。
・裾: 長さと仕上げで印象が変わる。
・ポケット: 機能性とデザイン性を両立。
・素材: 季節と用途に合わせた選択。
・仕立て: 試着をしっかり行い、テーラーとよく相談する。
オーダースーツのパンツは、細部にまでこだわることで、既製品では得られない最高のフィット感と美しいシルエットを実現することができます。この記事を参考に、あなただけの特別な一本を見つけて、ワンランク上の着こなしを楽しんでください。