オーダースーツの原価構成を徹底解説!テーラーが教える適正価格と品質の見極め方

オーダースーツ豆知識

いつもオーダースーツの豆知識をご覧いただきありがとうございます。

今回は、現役テーラーから、オーダースーツの原価が決まる構成要素についてわかりやすく解説します。

「オーダースーツって、一体いくらで作られているんだろう?」

そう思ったことはありませんか?街を歩けば素敵なオーダースーツを着こなしている人を見かけるけれど、その裏側、つまりスーツがどのように作られ、どれくらいのコストがかかっているのかは、なかなか見えてきません。

生地、縫製、そしてその他のコストまで、その内訳を明らかにすることで、オーダースーツの適正価格と品質を見極める目を養っていただければと思います。

 1. オーダースーツの原価を構成する要素

オーダースーツの原価は、大きく分けて以下の要素で構成されています。

・生地代: スーツの印象を大きく左右する生地。素材、産地、ブランドによって価格は大きく変動します。

・縫製代: 職人の技術料とも言える縫製代。手作業の工程が多いほど、価格は高くなります。

・型紙代:お客様の体型に合わせて作成する型紙の費用。フルオーダーの場合は個別の型紙作成が必要となります。

・付属材料費: ボタン、裏地、芯地など、スーツを構成する細かな材料の費用。

・その他諸経費:店舗運営費、人件費、広告費など、スーツの価格に間接的に影響する費用。

これらの要素が複雑に絡み合い、オーダースーツの価格が決まってきます。それでは、各要素を詳しく見ていきましょう。

 2. 生地代:ピンからキリまで、素材と産地が価格を左右する

生地はオーダースーツの顔とも言える存在です。素材、産地、ブランドによって価格は大きく異なり、原価に大きな影響を与えます。

・素材:ウール、カシミヤ、シルク、リネンなど、様々な素材があります。中でもウールは最も一般的で、その品質によって価格差が生まれます。繊維が細く、光沢があり、肌触りの良い高級ウールは高価になります。

・産地: イギリス、イタリア、日本など、生地の産地も重要です。特にイギリス製の生地は、ハリとコシがあり、耐久性に優れていることで知られています。イタリア製の生地は、柔らかく、光沢があり、ドレープ性に優れているのが特徴です。

・ブランド:有名ブランドの生地は、そのブランド力によって価格が高くなります。しかし、ブランドだけでなく、生地自体の品質も重要です。

生地代は、数万円から数十万円と幅広く、オーダースーツの価格を大きく左右する要因の一つです。

3. 縫製代:職人の技術が光る、仕立ての種類と工程数

縫製代は、職人の技術料とも言えます。手作業の工程が多いほど、手間がかかるため、価格は高くなります。

・仕立ての種類:大きく分けて、イージーオーダー、パターンオーダー、フルオーダーがあります。イージーオーダーは、既成の型紙をベースに調整を行うため、比較的安価です。パターンオーダーは、いくつかの基本型から選び、体型に合わせて微調整を行います。フルオーダーは、個別の型紙を作成し、細部までこだわった仕立てを行います。

・工程数: スーツの縫製には、多くの工程があります。手作業の工程が多いほど、時間と手間がかかります。特に、ハンドメイドの工程が多い高級スーツは、縫製代が高くなります。

縫製代は、数万円から数十万円と幅広く、生地代と並んでオーダースーツの価格を大きく左右する要因です。

 4. その他のコスト:見えない部分も価格に影響

上記以外にも、以下のようなコストがオーダースーツの価格に影響を与えています。

・型紙代:フルオーダーの場合は、お客様の体型に合わせて個別の型紙を作成するため、型紙代が発生します。

・付属材料費: ボタン、裏地、芯地など、スーツを構成する細かな材料の費用も含まれます。特に、高級素材のボタンや裏地を使用する場合は、費用が高くなります。

・その他諸経費:店舗運営費、人件費、広告費など、スーツの価格に間接的に影響する費用も考慮する必要があります。

 5. 適正価格と品質の見極め方

これらの原価構成要素を踏まえた上で、オーダースーツの適正価格と品質を見極めるためには、以下の点に注目しましょう。

・生地の品質:素材、産地、ブランドだけでなく、生地の織り方や仕上げにも注目しましょう。

・縫製の丁寧さ: 縫い目の細かさ、ボタンの付け方、アイロンのかけ方など、細部まで丁寧に仕上げられているかを確認しましょう。

・テーラーの技術と経験: テーラーの技術と経験は、スーツの仕上がりに大きく影響します。信頼できるテーラーを選びましょう。

価格だけでなく、これらの要素を総合的に判断することで、自分にとって最適なオーダースーツを見つけることができるはずです。

6.まとめ:オーダースーツの豆知識

オーダースーツの原価構成を知る上で、以下の豆知識は理解を深めるのに役立ちます。

・生地の「打ち込み本数」:生地を選ぶ際、「打ち込み本数」という指標があります。これは生地1インチ四方の中に縦糸と横糸が何本織り込まれているかを示す数値で、数値が高いほど高密度で上質な生地とされます。打ち込み本数が多いほど、生地の耐久性や光沢、肌触りが向上し、原価も高くなる傾向があります。

・縫製の「フルハンド」と「マシンメイド」:縫製方法には大きく分けてフルハンド(手縫い)とマシンメイド(機械縫い)があります。フルハンドは職人が手作業で丁寧に縫製するため、時間と手間がかかり、原価も高くなります。特に、ボタンホールや襟付けなど、重要な箇所に手縫いを施すことで、着心地やシルエットが向上します。マシンメイドは効率的に大量生産が可能ですが、手縫いのような繊細な仕上がりは期待できません。

・付属の「水牛ボタン」と「ナットボタン」:ボタンにも様々な種類があり、原価に影響を与えます。水牛の角から作られる水牛ボタンは、天然素材ならではの風合いと耐久性が特徴で、高価です。一方、ヤシの実から作られるナットボタンは、比較的安価で、カジュアルな印象を与えます。ボタン一つにも素材や加工によって価格差があることを知っておくと、原価構成をより深く理解できます。

これらの豆知識を知っておくと、オーダースーツを選ぶ際に、価格だけでなく品質や製法にも注目することができ、より納得のいく選択ができるでしょう。

この記事を通して、オーダースーツの原価構成について理解を深めていただけたかと思います。適正価格と品質を見極める目を養い、自分にとって最高のオーダースーツを見つけて、より豊かなファッションライフを送ってください。