炎天下の中でのオーダースーツ着用は、多くの方にとって暑苦しい経験かもしれません。しかし、暑い季節でも快適な装いを楽しむ方法があります。涼しさとおしゃれを同時に追求できる涼しいオーダースーツについて、テーラーの視点からご紹介します。
生地と仕立てへのこだわり
涼しいオーダースーツを楽しむためには、生地の選択と仕立ての工夫が重要です。こちらのポイントについて詳しく見ていきましょう。
1 通気性と吸水速乾性
暑い季節にオーダースーツを涼しく着るためには、通気性が良く、吸水速乾性のある素材を選ぶことが大切です。例えば、リネンや薄手のコットン素材は通気性が高く、汗を素早く吸収して迅速に乾燥させる特性を持っています。これにより、ムレや不快感を軽減することが可能です。
例えば、リネンのような素材は自然繊維であり、微細な繊維間に空気の層ができるため、通気性が非常に高いです。また、リネン素材は吸湿性もあり、汗を素早く吸収してくれるため、肌面の快適なドライさを保ってくれます。
2 ウール素材の調湿効果
ウール素材は調湿効果に優れており、他の繊維にはない特徴を持っています。ウール繊維の表面に存在する微細な「スケイル」と呼ばれる構造が、湿度の調整を助けています。湿気が高い時にはスケイルが開いて湿気を吸収し、湿度が下がるとスケイルが閉じて湿気を外部に放出します。この仕組みにより、ウール素材の涼しさが持続し、ムレを軽減してくれます。
具体的な例として、ウール混紡素材のスーツを考えてみましょう。ウールの調湿効果を活かしつつ、軽やかな風合いを持つ素材を選ぶことで、涼しさと快適さを同時に実現できます。
仕立ての工夫
仕立てにおいても、涼しい着心地を追求する工夫があります。こちらのポイントにも注目してみましょう。
1 背抜き仕様の背中裏地
ジャケットの背中の裏地に「背抜き」仕様を選ぶことで、通気性を高めることができます。背抜き仕様は裏地を取り除いたデザインであり、軽やかな着用感と涼しさを提供します。
例えば背抜き仕様のジャケットに、通気性の高いメッシュ裏地を持つパンツを組み合わせることで、全体的な通気性を向上させることができます。また、肩パッドを薄くしたり、芯地を軽量なものに変更することで、暑い季節でも快適に着用できる仕立てを実現できるでしょう。
2 パンツ裏地の確認
パンツの裏地も涼しさに影響を与えます。足部分の裏地が抜いてあるデザインや、股下の裏地が通気性の高いメッシュ素材であるものを選ぶことで、蒸れを軽減し快適な履き心地を実現できます。さらに、芯地や肩パッドが薄いものを選ぶことで、蒸れにくさも向上します。
おしゃれなアクセントの追加
涼しいオーダースーツの着こなしには、アクセントを加えることでさらなるおしゃれさを演出できます。
1 カラーコーディネート
涼しい季節にぴったりな明るい色合いやパステルカラーを取り入れることで、軽やかな印象を与えます。ジャケットやシャツの色選びを工夫し、季節感を楽しむスタイリングを試してみましょう。
例えば、淡いブルーのジャケットに白いシャツを合わせてみたり、ベージュのスーツにライトグリーンの小物をプラスしてみると良いでしょう。カラーバランスを考えながら、自分らしいコーディネートを楽しんでみてください。
2 涼しげな柄
ストライプやチェックなどの涼しげな柄を選ぶことで、スーツ全体に軽やかな雰囲気をプラスできます。柄のアクセントをうまく取り入れることで、オーダースーツの個性を際立たせましょう。
例えば、細めのストライプ柄のシャツを選んでジャケットと合わせたり、サマーチェック柄のパンツを取り入れてみたりすると、スタイリッシュな印象をアピールできます。柄のバリエーションを試してみて、自分のスタイルに取り入れてみるのも楽しいですね。
メンテナンスのポイント
涼しいオーダースーツを長く楽しむためには、適切なメンテナンスが不可欠です。
1 クリーニングと保管
シーズン終了後にはクリーニングを行い、シワを伸ばして保管することが大切です。クリーニングはプロのクリーニング店に依頼し、長期間の保管には通気性のあるガーメントバッグを使用しましょう。
2 専用のハンガー
オーダースーツを保管する際には、専用のハンガーを使用することがおすすめです。肩のフォルムを保ちながら、シワを防止する役割を果たします。
暑い季節におしゃれなオーダースーツを楽しむためには、涼しい素材の選択と仕立ての工夫が重要です。通気性や調湿効果に優れたウール素材を取り入れ、背抜き仕様のジャケットや通気性の高いパンツ裏地を選ぶことで、涼しさをキープします。アクセントのあるカラーや柄を取り入れておしゃれさを追求し、適切なメンテナンスで長く楽しむことができます。暑さに負けず、快適な着心地とおしゃれを両立させる涼しいオーダースーツで、自信を持って日々を過ごしましょう。